弊社がお部屋の貸主となった子ども食堂「一般社団法人 ピノッキオ」の内装工事が2020年7月25日に完成し8月4日に初日を迎えました。
天井、壁、床には木の温かみを取り入れて、また壁の一部はカラフルな配色に仕上げており全体として明るい居心地の良い雰囲気の室内に仕上がっています。
なぜ弊社がこのような事業を行っているかというと、設立の際に弊社を支援してくだっている団体と二つの約束をしたことが始まりです。約束の一つが「社会貢献」です。私自身、社会貢献ということに縁がありませんでしたが、この約束を機に積極的に取り組んでおります。
はじめは何ができるのかもわからずにおりましたが「時間とお金の許す限りやってみよう」と決め、弊社のシニアアドバイザーである宮本聡が月一で開催している勉強会「子どもの権利を学ぶ会」に2019年から参加させていただいております。
何回か参加するうちに子どもを支援する様々な団体があることを知り、それぞれの団体の活動内容を聞き、団体の方々と知り合う機会に恵まれて社会貢献の意味が少しずつ解ってきたのです。2020年1月の勉強会に参加した際、元早稲田大学教授で子ども食堂の設立を進められている川名はつ子さんと出会いました。
2020年1月の勉強会のテーマは「子どもの権利条約」についてで、それらに係わる本を紹介し合う会でした。出版社の垣根を越え、総勢7名の編集担当者が一堂に会し、それぞれの会社で出版している本を持ち寄り私を含めた参加者へお披露目しました。
紹介された書籍のいくつかはその場で購入することができ、私は川名さんが監修した絵本を購入して裏表紙にサインをいただき名刺交換をしたことが今回のプロジェクトの始まりです。帰り際に「あなたも同じ北区に住んでいる不動産屋さんだと言うなら少し私のお手伝いをしてくださらない?」との申し出をいただいて子ども食堂を運営するための空き家や空き店舗の賃貸物件情報を探し始めたのはその月の末頃からでした。
川名さんの住まいの近所には空き家が増えており「探せば貸してくれるところもあるのではないか?」という川名さんのお考えに従い賃貸物件情報を確認しました。せっかく私を頼ってくださった川名さんの期待に応えたいと思い色々探してみましたが希望条件を満たす空き家も空き店舗もなかなか見つけることができませんでした。
実はあまり知られていませんが、日本全国にはおよそ880万戸の空き家があり、一年で数十万戸単位で増加しています。行政の調査によると北区には一軒家の空き家が約800戸あるそうです。
北区では2年前から空き家を提供出来るオーナーと空き家を利活用したい地域貢献活動団体とをマッチングする「空き家利活用モデル事業」を推進しています。上手くいけば地域貢献活動団体は助成金を受けることもできます。
お隣りの豊島区などは行政と民間が強力し合って色々と上手に進めていて羨ましい限りですが、北区のこのモデル事業は現在まで1件も成立していませんでした。社会貢献にもなり賃料が入って来てしかも家が朽ち果てずに再生するという所有者にとっては良いことだらけに聞こえますが、空き家と言えども大切な思い出の詰まった「家」であることには違いありません。
そのためなかなか簡単には進まないのでしょう。区役所の「まちづくり部住宅課」へ赴いて担当者さんに現状をお聞きしてみると「利活用したいと考えている地域貢献活動団体からの登録は数件あるけれど空き家を提供したいオーナーからの登録が1件も無い」とのことでした。
私どもとしましても何とかして川名さんの気持ちに応えたい。諦めずに不動産業者のみが閲覧出来る物件情報サイトで色々探し続けましたが川名さんが通いやすい北区内で1階部分、60㎡以上、そして希望賃料での店舗用賃貸物件や空き家はなかなか見つかりませんでした。そうこうしているうちに1か月が過ぎ、たまたま目にした立地良し、広さ良し、その他諸々子ども食堂を運営するには条件の見合う元々は中華料理店が入っていたスケルトン状態の「売り店舗」を見つけました。
しかし残念ながら川名さんの希望である賃貸物件ではありませんでした。それでも念の為、と思い川名さんに紹介してみましたが「購入することはできない」とのことでした。そこで今度はその物件の売主さんに賃貸として契約できないか交渉を重ねたところ当初は借主の事業内容について難色をしめされておりましたが、最終的には賃貸での契約を承諾していただきました。
早速、川名さんと一緒に現地へ行ってみると目の前にはバス停があり、斜向かいには小学校、裏手に回ると川の流れる公園、近くに病院やスーパーもあり、店舗の前には自転車が止められて広さも申し分なく先生が通うのに少し遠いけれどまずまず希望通りの物件ですが今度は賃料が折り合いません。
と、そこでよくよく考えてみると「川名さんが気に入ってここで子ども食堂をやるなら弊社が購入して貸主になってしまえば、子ども食堂が実現できる!」ということに気がつきました。売主さんや金融機関に相談して投資的に見て「利益は出ないまでも損をしなければやろう 」と考え決断しました。
それから約1か月間かけて大掛かりな内装工事を要しました。
業務上、私と取引のある内装業者ではなく川名さんの希望を汲んでくださる方、室内デザインについては三日月デザインオフィス代表の河津あつ子さん、内装工事については、アトリエ光と風 代表の成田宙路之さん素敵な室内を作り込んでくださいました。
子どもたちが喜んで食事をする姿が目に浮かびます。これからもこの子ども食堂を応援して行きたいと考えています。そしてどうか皆さんもぜひ応援してください!
「一般社団法人ピノッキオ」による北区滝野川三丁目の子ども食堂の応援をぜひよろしくお願いいたします。