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活動報告

2023年12月17日

赤城少年院へ視察に行ってきました

まだ残暑の厳しい2023年9月21日、認定NPO法人育て上げネット様主催で群馬の赤城少年院へ視察に行ってまいりました。

以前より当社のアドバイザーである宮本より少年院視察の話を聞いており、行ってみたいと思っていたところ、8月に共通の知人である「育て上げネット」の押(おさえ)さんからお声かけ頂き、実現いたしました。

育て上げネット代表の工藤さんから、見てきたことを情報発信することが、周囲の人に少年院を知っていただく一歩となるとお聴きして、この情報発信もその一助となればと思い共有させていただきます。

少年院の子どもたちの実情を目の当たりにして

右から、押 雅子さん(認定特定非営利活動法人 育て上げネット)、平尾 千絵さん(株式会社ファンドレックス パートナー)、山田 心さん (東京おもちゃ美術館/認定NPO法人芸術と遊び創造協会)そして私の4名で参加させていただきました。

赤城少年院は群馬県の前橋駅からタクシーで約30分ほどの場所にあります。育て上げネット様は定期的に各地の少年院の視察ツアーを企画されており、今回は赤城のツアーに参加させていただきました。

当日の参加者は15名程度。主催者の関係者様を合わせて20名ほどで回らせていただき、概要説明や院内視察、意見交換等を行い、たいへん興味深くいろいろなことを考えさせられる経験となりました。

少年院は全国で44箇所あり、少年犯罪で検挙された人の約5%にあたる1500人(年間)ほどが少年院へ移送されているそうです。

赤城少年院は男子のみで、見学時は22名が在院していました。在院中の子どもたちはバリカンをあてて短髪にしていることもあってか、一見すると到底犯罪者には見えず、真面目な少年たちばかりに見えました。

刑務所とは違い少年院には刑期があるわけではなく、11か月程度在院した後に仮退院(保護観察)となりますが、引受人と帰住地が決まらないと退院ができないということでした。引受人は親族である必要はありませんが、引受人がおらず在院期間が延びてしまう子もいるとのことです。

また彼らの退院後については国が就学・就業の支援などを行っていますが、支援が間に合っておらず、NPO法人などの民間が入らざるを得ない現状であるとのお話でした。

2時間ほどの視察を終え、私は50年以上も生きてきて知らないことだらけであったことに気づかされました。犯罪を犯した若者が少年院に入ることは当然のことと思っていましたが、退院した後のことを深く考えたことがなかったのです。

当たり前ですが彼らには人権があり、退院後は住まいも仕事も必要です。しかし、少年院から退院した少年少女に対し、貸し手側が家を貸すのを嫌がることが多く、家を借りるのは大変難しい現状があります。家がないと仕事に就くこともままなりません。

誰もが「社会的大家」となるような世の中に

これは彼らだけの問題ではなく、貸し手側が人的トラブルのリスクを避けるため、積極的ではないからです。また、高齢者やシングルマザーなどにも同じことが起こっています。

私は、不動産に携わる者として一人でも多くの人が「社会的大家」となる世の中になってほしいと願っています。

「社会的大家」とは、社会問題を自分事として捉え、他人といえども子どもたちや住まいが必要な人に寄り添うことができる人であると考えています。

それと同時に、人口減少社会で空き家が増え続けている日本において、使わない家を利活用する手段のひとつとして、費用対効果の面で優良な投資とはならないかもしれないけれど必要な人に住まいを提供していくことは大切なことだと考えています。

本当の大家さんになるのは難しくても、広い意味では人や社会に対する優しさを持つことも「社会的大家」といえると思います。人々をカテゴライズして分断するのではなく、必要な人につないでいくこと、寄り添っていくことは誰もができることのはずです。

私たちあおい不動産アドバイザーズでは2020年から大家として一般社団法人ピノッキオ様へ場所を提供し、子ども食堂などの子どもたちの居場所づくりの活動を支援しています。

支援の第一歩として

今回の視察を通して少年院の実態を「知ること」が支援の第一歩だと感じました。同行したメンバーのひとりが「意見を持つ上でも現場を見るということは大事だと思う」と言っていました。ほんとうにその通りだなと思います。今回のようなツアーは大変貴重な機会です。

ご興味を持たれた方はぜひ一度育て上げネット様の主催する少年院の視察ツアーに参加してみていただけたらと思っています。そして現状を知り、私たちが今後何ができるのかを一緒に考えていきませんか?

少年院を出院した子どもたちに寄り添い、更生自立を支え続けるプロジェクト

https://community.camp-fire.jp/projects/view/73714