「不動産=資産」だと考える方が多いかと思います。しかし実際は、資産価値が低く、所有しているだけで金銭的な負担が発生し、マイナスの価値しか生み出さない”負”動産が存在するのです。
今回は「堅い」イメージの不動産を、もっと身近に感じていただけるように、対談形式で説明していきます。
第2回目のテーマは「”負”動産」についてです。
登場人物
「不動産のことは何もわからないド素人」代表
いけかよ
フリーランス編集長。1980年岡山県生まれ。執筆、編集、Webメディア運営、ワークショップ、プロジェクトマネジメントなど幅広く活動中。現在、あおい不動産アドバイザーズのWeb広報をサポートしている。
あおい不動産アドバイザーズの代表
西川
不動産業務経験30年。仲介、新築販売、賃貸管理、ビル管理、資産管理、買取再販、用地取得など、幅広い実務に携わってきた不動産のプロフェッショナル。
あおい不動産アドバイザーズ シニアアドバイザー
宮本
金融機関、不動産会社、NPOなど様々な業種での勤務経験を持ち、現在は、海外不動産の販売や資産形成の助言、経営・営業のコンサルティング、ファイナンシャルプランニング、事業承継や資産活用の助言、社会貢献活動の助言やコーディネートを行うなど、多方面で活動。
不動産は必ずしも資産になるとは限らない
宮本:不動産の世界では、不動産の「不」の字を、「負」動産と表現することもあるんですよ。
売れないどころか、維持コストだけがかかり、マイナスしか生み出さない不動産が残念ながら存在します。
いけかよ:現在空き家になっている亡き祖母の家は、絶対「負」動産です!田舎の山の上にある家なので。近くでタヌキが走り回っていても不思議じゃない場所です。
宮本:コロナ禍で地方に移住される方も増えたので、地方の不動産でも何らかの条件を付けることで、都心の方にとっては、価値のあるものになったりもします。
ただ、残念ながらどう頑張っても需要のない不動産があるのも事実です。「100万円をあげるから、その不動産をもらってください」みたいな、マイナスの価値しかない不動産も存在します。
西川:ちなみに、今空き家になっているお祖母様の家は、どなたが相続しているのですか?
いけかよ:誰が相続しているのかわからなくて……。
西川:毎年の固定資産税を相続人の誰かが負担しているはずです。
いけかよ:父か、父の兄弟が払っているのかな……。固定資産税を払っていないこともありえますか?
西川:固定資産税を滞納していれば、督促が来ます。
いけかよ:ちなみに、固定資産税ってどれくらい支払うのでしょうか?
西川:土地の評価額にもよりますが、田舎の土地なら、年間で数万円位でしょうか。
また、土地とは別に、建物にも固定資産税がかかります。築何十年も経っている木造建築だと、価値がほとんどないので、大した金額ではないはずです。
不動産を更地にした場合の固定資産税や解体費用も考慮が必要
いけかよ:どこかで耳にしたことがあるのですが、たしか、固定資産税は更地にした方が高いんですよね?
西川:そうなんですよ。建物があることで、軽減措置が働いて、実際に課税される金額の6分の1で済むのです。だから、単純に言えば、更地にしたら、今払っている固定資産税の6倍の金額を納めないといけないわけです。
いけかよ:6倍も!だから、日本全国で放ったらかしの空き家が多いんですね。なんでそんな制度があるのですか?!絶対に空き家が増えちゃうじゃないですか。
宮本:今まさに、その制度は変わろうとしています。老朽化が進んだ特定の空き家については、軽減措置が不適用になるケースがあります。つまり「空き家のまま放置していると、固定資産税が上がるので対策してください」という訳です。年々、軽減措置が不適用になる範囲は増えています。
西川:ちなみに更地にする場合は、建物の解体費用も必要です。解体費用は一般的には木造なら1坪3万~6万円、鉄骨造なら4万~8万円、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造なら6万~10万円程度かかることが多いでしょう。
たとえば30坪の一軒家を解体する場合、木造住宅なら90~180万円、鉄骨造なら150~240万円、RC造であれば180〜300万円程度の費用が必要です。家の中に家具などが残っている場合は、さらに費用が追加される場合もあります。また、建材の一部にアスベストの使用が認められる場合などは余計に費用が発生します。
いけかよ:”負”動産を相続してしまうと、大変ですね……。
“負 “動産を手にしないためにできること
宮本:不動産の資産価値の査定と、将来的にどのような選択肢があるのかを考えておくことが重要です。そして、それを何年かに一度、定期的に見直していくことも大切です。
いけかよ:ちなみに、不動産の資産価値はどうやって確認すれば良いのでしょうか?
西川:不動産の所有者宛に送られてくる納税通知書に同封されている「固定資産課税明細書」を確認してみましょう。そこには、土地や建物の固定資産税評価額が記載されています。
いけかよ:固定資産税評価額……?
西川:固定資産税評価額は、固定資産税の納税額の元になる数値です。土地の固定資産評価額は実勢価格の7割程度を目安に定められているため、固定資産税評価額に0.7を割れば、目安となる土地の相場を知ることが可能です。あくまでも目安ですが。
いけかよ:なるほど!今度実家の固定資産課税明細書を確認してみよっと。
(対談ここまで)
相続する可能性のある不動産の資産価値を知っておこう
一見資産に見える不動産。しかし、中には負の財産になるものがあることを、肝に銘じておきましょう。
“負”動産を手にしないためには、相続する可能性のある不動産の資産価値を知っておくことや、売るのかリフォームするのかなど、将来的な選択肢を考えておくことが大切です。さらに、不動産の価値は年々変化するので、定期的に見直すようにしましょう。
不動産は評価額と実際の売却額の差が大きく、不動産の本当の価値を判断するのは非常に難しいです。また、不動産の売却などが絡む複雑な相続の場合、解決までにかなりの時間がかかるため、1日でも早く対策を考えることをおすすめいたします。
弊社では、相続のご相談も承っております。ご不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。
その他のいけかよが聞く対談コラムはこちら